2017年10月25日
地域再生
企画室
新井 大輔
RICOH Future House(神奈川県海老名市)内のコワーキングスペースROLEが主催する「ROLEビジネスカレッジ」が9月7日スタートした。
ROLEはレンタルオフィスやシェアオフィスなどのサービスを提供しており、海老名市を中心に神奈川県央部の起業家などにご利用いただいている。これまでは、起業を後押しするためのセミナーや、会員同士を結びつける交流会などを定期的に開催していた。しかし、既に事業を展開している会員からは、「世界経済や社会の動向など事業の継続・拡大のために必要な知識を身に付けたい」、「商談の合間にセンスあるビジネストークができたら...」といった要望が寄せられ、起業家をエンパワーするセミナーとして「ビジネスカレッジ」を連続的に開催することになった。当リコー経済社会研究所は講師を派遣する形でビジネスカレッジの運営に協力する。
第1回目は「世界経済を分かりやすく読み解き、未来を予測する」と題し、金田一弘雄主席研究員(経済研究担当)が講師を務めた。午後6時、本来であれば仕事を終え、ビールで喉を潤したくなる時間帯にもかかわらず、ROLEの会員を中心に10余人の方に参加いただいた。
金田一弘雄主席研究員は、1983年から2016年6月まで日本銀行に勤務、内外のマクロ経済調査に携わった経験をベースに、世界経済の現況とリスクについて分かりやすく分析し、解説した。日本で深刻化する人手不足問題や、米国のトランプリスク、中国がドイツと緊密に連携して製造業の強化計画を進めていることなど、経営のヒントにつながる具体的なトピックも織り交ぜての話に、参加者は真剣に聴き入っていた。
講演後の質疑では、「台湾では、対中融和的な国民党から独立志向の強い民主進歩党へ政権が交替した。台湾経済の先行きをどう見たらよいか?」「中国の人件費上昇を背景に、日本の製造業の国内回帰はどの程度進むか?」「中国では個人の環境意識が高まりつつある。今後の中国での環境ビジネスの見通しをどう見ているか」など、それぞれの事業と結びつけた具体的な質問が多かった。その後のグループセッションでは、事業を取り巻く環境や、マクロ経済が経営にどのような影響を及ぼすかについて、参加者同士が意見交換。最後の参加者全員での記念撮影では、ROLEの会員同士の和気あいあいとした雰囲気が伝わってきた。
ROLEが入居するRICOH Future Houseは「人が集い、学び、成長する。そして未来を想像していく場」をコンセプトに、海老名駅前に2015年8月に開業した商業施設。プログラム終了後も、講師の周りを参加者が取り囲み、より突っ込んだ質問をしている様子を見ると、集い、学び、成長するコンセプトにあった「場」が提供できたような気がする。
リコー経済社会研究所は、グローバル経済や産業・社会構造の未来を予測し、リコー経営陣に対して提言を行っている。日ごろの研究の成果を外部に対しても発信し、また、経営者や起業家のナマの声を聴く機会として、ビジネスカレッジを活用していきたいと考えている。
「ROLEビジネスカレッジ」の第2弾は、11月8日に開催予定。当研究所の産業・社会分野担当の中野哲也主席研究員が、「地方創生」をキーワードに講演する。日本全体では人口減少の一方で、東京への一極集中が加速している。全国の地方自治体を取材した経験をもとに、地方が縮小する時代を生き抜くビジネスヒントを詰め込んだ内容になっている。
参加費1000円、軽食・ワンドリンク付。ROLE会員以外でも、どなたでも参加できるので、ご興味のある方は以下のサイトからお申し込みください。
講演テーマ:『地方創生~企業・自治体に求められる4つの「つくり」とは?~』
https://ricohfuturehouse.jp/4f/event/E0000000748.html
(写真)ROLE提供
新井 大輔